[スペシャル対談]働きがいのある会社 国内1位・株式会社コンカー 管理部部長 金澤千亜紀氏 x ブライト代表取締役 三好玲

Great Place To Work® Institute Japanが発表した「働がきがいのある会社」2018年度の第1位に輝いた株式会社コンカー。2013年に三村真宗社長自らが「働きがいのある会社」を目標に設定し、5年かけての実現となった。今回は数々の施策を実行してきた金澤千亜紀氏に、具体的な施策内容や苦労した点、また2016年からパートナーとなったブライトの三好についてインタビューした。

(インタビュイー:弊社コンサルタント)

人を大切にするため「働きがいのある会社」1位を目指す

―― 今日はお時間をとっていただきどうもありがとうございます。「働きがいのある会社」第1位獲得おめでとうございます。

金澤千亜紀氏(以下、金澤氏)
ありがとうございます。

―― 早速ですが「働きがいのある会社」をつくろうと思われた背景について教えていただけますか。

金澤氏

当社社長の三村が入社した2011年から数年間は、車内の雰囲気に問題がありました。たとえば、忙しい時にカリカリしていたりですとか、その影響で相手に対するリスペクトが欠けた話し方が見られたりといったことがありました。

三村はもともと働きがいが経営に与える影響についても思い入れがあり、人を大切にしたいと考えていたようです。同時に社員数が増え、いろいろな人が入ってきている中でコンカーとしての価値観をつくっていきたいという思いは三村も私も持っていました。

そこで2013年のオフサイトミーティングでGPTW(Great Place To Work® )の「働きがいのある会社」1位になることを目標にすると三村から発表があり、この時から「働きがいのある会社」を明確に目指すことになりました。

施策の中心はフィードバック

―― 1位になるまでは様々な施策を実施されてきたと思いますが、施策の中心はフィードバックですよね。

金澤氏
2014年からGPTWの調査に参加しましたが、最初は、調査結果で出てくるポイントの低い項目が分かりやすいところだったんです。福利厚生だったり、教育制度だったり。そういうものはすぐ改善できます。ところが毎年やっていると、誇りや貢献実感といった人の心に関わることが課題になってきまして、どうしたらいいのかと悩みました。そういう時に大きな力になったのがフィードバックをする文化です。

―― フィードバックが出来る組織にしたいと多くの人が考えていると思いますが、実現するのは至難の技です。どのような工夫をされましたか?

金澤氏
まずフィードバック研修を三好さんにやっていただきました。社長も含めて全員参加の研修です。

―― どのような研修でしょうか?

金澤氏
フィードバックはコンカーでなくても出来るので、出来るだけコンカーらしいフィードバックにしたかったんです。それを伝えるための研修です。

―― コンカーらしいフィードバックについて教えてください。

金澤氏
フィードバックはすることも大事ですが、受けることも大事なんですよね。「聞こう」という姿勢がない人には言いにくいですから。受け止めるという態度でいることを大事にしています。また一般的なフィードバックは上司から部下というように上から下へ行うものだと思いますが、コンカーでは下から上へ。それだけではなく、他部門のマネジャーなど横でも行います。縦横斜めといろんな関係でフィードバックが出来るといいですよね、というメッセージを出しています。面談では上司から部下へ「(上司に対する)フィードバックはない?」と上司の側から必ず聞いてもらうようにしています。

―― 上司からそう聞かれても部下は答えにくいのではないでしょうか?

金澤氏
そうですよね、おっしゃる通りだと思います。その敷居をできるだけ下げていくためにアンケートを実施しています。簡単なアンケートなんですが、質問は4つ。「同僚にフィードバックをしていますか?」「同僚からフィードバックを受けていますか?」「上司にフィードバックをしていますか?」「上司からフィードバックを受けていますか?」というものです。

これは無記名ですが、部門名を書いてもらっています。このアンケートからフィードバックを受けるのが少ない上司が浮かび上がってきますので、それを上からやんわりと伝えてもらうようにしています。

―― 素晴らしいお取り組みですね。

金澤氏
ええ、フィードバックのフィードバックをしています(笑)。

―― 三村社長もそのアンケートに参加をされるのですか?

金澤氏
はい。参加しています。

―― それも素晴らしいですね。社員同士の関係性ができているから、フィードバックが言いやすいのかもしれませんね。

金澤氏
そうですね。そこはいろんな施策で、コミュニケーションランチですとか、部活ですとか、いろんな活動を通してマネジャーも皆と同じように遊んだりして壁を壊すようにしています。そういう文化は醸成されていると思います。

「高め合う文化」で目的意識を方向づける

―― フィードバックを浸透させるための工夫として研修以外は何をされましたでしょうか?

金澤氏
「高め合う文化」という言葉ですね。メッセージの出し方としてただ単に「フィードバックをしましょう」というところからスタートしたのではなく、「私たちは高め合う文化を醸成しますよ」と伝えることができました。これはとても良かったですね。

この「高め合う文化」という言葉は三好さんが考えてくださったのですが、この言葉が組織にスッと浸透したんですね。フィードバックは何か嫌なことを言うのではなくて、相手の成長のために行うのだという認識を全員が持てたと思います。

フィードバックがどういう位置にあるのかというのが「高め合う文化」という言葉の中にまとまったんですね。この言葉があることで私たちも非常に説明がしやすかったと思います。

―― たしかにフィードバックは嫌なことを言うという印象がありますよね。「高め合う文化」はそれを前向きに表現されていますよね。

金澤氏
それは本当に言葉の力ですよね。三好さんもよく言葉の力ということをおっしゃっていますが。

―― 言わなくて済むことを相手のためだと思っていうのは難しいですが、「高め合う文化」という言葉が背中を押してくれますね。

金澤氏
そうですよね。そういう風に位置付けることで言い方も変わってくると思います。

三好
言葉にはこだわりましたね。「高め合う文化」も日々の施策も。

――「高め合う文化」と言う言葉が決まるまでは苦労をされたんですか?

金澤氏
いえ、三好さんからすぐに出ました。私も「高め合う文化」という言葉を聞いてすぐにこれだと思いました。

―― ちなみにフィードバック研修を行ったのは三好ですが、研修で良かったところがあれば教えていただけますでしょうか?

金澤氏
三好さんはインストラクターとして皆の雰囲気をまとめていくのがとても上手です。研修はインストラクターの方でほとんどが決まると思うのですが、皆で同じ方向を向かせるということをまずやってくださる。同じ方向を向くのが一番大事です。それが出来ると研修の内容が受講者に入っていくんですよね。

―― ありがとうございます。

ブライトとの関わりは人事制度構築から

―― ブライトとの関わりは人事制度構築のためのコンペからだとお聞きしています。人事制度についてはいろいろなベンダーがいらっしゃいますが、なぜコンペをされてブライトに決定されたのでしょうか?

金澤氏
実は最初は人事制度をつくりたいというよりも、もっと小さいジョブグレードをつくりたいということだったんです。最初は小さい会社だったので、グレードがなくても毎年フィードバックをしてなんとかなっていたのですが、人数が増えるにつれて公平性が難しくなってきました。

それでコンサルタントの方に入っていただいたら、ジョブの定義から決めたいということになりました。ただその時点でまだ100名ほどの会社だったので、ジョブの定義を1つ1つすることにあまり意義を感じなかったんです。

でも三好さんは、「会社の文化をどうつくるか」というところから提案して会社全体のことを考えてくださったのがしっくりきました。私たちもコンカーらしい人事制度をつくりたかったので、三好さんのところならそれが可能になるんじゃないかと思いました。

―― 御社のニーズに合わせた提案があったということでしょうか。

金澤氏
そうですね。

―― 手前味噌で恐縮ですが、ブライトの良かったところを教えていただけますか?

金澤氏
まずはコンカーのことを理解してくださろうとすごく真剣に聞いてくださって。マネジャーたちのインタビューを通じて、ぼんやりとしていたけれど言語化できていなかったが進めていくべき人事制度が見えてきました。

たとえば、今でも三好さんに感謝していることがあります。実はこの業界は人の入れ替わりが激しい業界なのですが、当時、私は人が辞めてしまうのが寂しくて、辞職する人がいると、何がいけなかったんだろうと思っていたんです。

でも三好さんに、人が辞めるのはやむを得ないことで、それよりもコンカーにいた時期にどれだけ成長できたのかが大事。最終的には人材輩出企業になった方がいいとおっしゃっていただきました。

この考え方は私の中では大きくて、育成という観点で人事制度をつくっていくといいんじゃないかと気持ちが切り替わりました。

―― 単なる人事制度の改定ではなく、作りたい会社をつくるための人事制度の改定になったんですね。

金澤氏
そうですね。「ジョブグレードも目標設定も、すべて社員の皆さんの成長のためにやっているんです」という指針が根底にできたことで、社員の皆さんに説明をするときに自信を持って説明ができました。私自身もすんなりと理解できましたし、きっと社員の皆さんもすんなりと理解してくれたと思います。

―― なるほど。ジョブグレードを実際に導入されてみていかがですか?

金澤氏
今、ジョブグレードを入れて1年くらいです。やっぱり給与が関わることなので、質問がくることがありますが、私も自信を持って答えられますし、社員さんも納得してくださる。そういう点では助かっています。

「この会社が好き」という思いが制度に魂を入れる

―― お話をお伺いしていますと、人事制度をつくるところから、GPTWでの1位をとることは始まっていたんですね。

金澤氏
そうなんです。

―― 改めてお聞きしますが、働きがいを高めるために大切なポイントは何だと思いますか?

金澤氏
社員の方と対話することですとか、調査もしているので、社員の声を吸い上げていくことが大事だと思います。

―― やっぱりこういうものは人がつくっていくものなので、金澤さんのように人への想いを持っている方がやらないと魂の入ったものにならないんですよね。三村社長もコミットされていらっしゃいますが、三村社長も金澤さんも御社のことが大好きでいらっしますよね。

金澤氏
ええ、社長もコンカーが大好きですし、私も大好きです。1位をとるまでは本当に大変でしたが(笑)。

―― 1位をとられた反響や良かったことは何ですか?

金澤氏
会社全体で1位を取れたということに対してみんなで喜んで盛り上がれたんですよね。それが嬉しかったです。もちろん1位になれたことも嬉しいんですけど。社員が誇りを持ってくれたことが嬉しいです。

―― 採用にも好影響がありますか?

金澤氏
エージェントの方は、希望者にコンカーを勧めやすいとおっしゃってくださいます。GPTWは客観的な指標ですし、オフィスもGINZA SIXに移転をしたばかりなので勧めやすいと。

―― そうですよね! オフィスもとても素敵です。最後に今後さらにブライトに期待したいことがあれば教えてください。

金澤氏
そうですね、これから社員がどんどん増えていくので今の風土をキープできるようにしたいと考えています。今後も継続的に社員のトレーニングやチームビルディングをお願いすると思いますが、全体感を見据えた上で今何をしたらいいのかを相談できるのでとても心強く思っています。人事施策のパートナーとして期待しています。

三好
ありがとうございます。100人のときより、200人、200人のときより300人の方が組織風土が良いというのを目指したいですね。

―― ありがとうございます。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

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